車を事故などで損傷させてしまった時に行う修理「板金修理」をご存じでしょうか?
「板金」とは、家電製品や建築資材など私たちの身の回りにあるものの部品を意味しています。
車においての板金は、へこんだり傷ついたりしたボディをパーツやパネルの交換をせずに元に戻すことを指します。
ここでは、「車の板金修理」とは具体的にどのような修理なのか、方法や修理期間、費用についての解説をしていきます。
目次
車の「板金」ってどんな時にするもの?修理の方法やメリットは
まずは車の板金修理がどのようなものか理解しておきましょう。
車の板金ではどんな傷を修復できる?
車の板金は主に「ひっかき傷」「こすり傷」「へこみ傷」の3つの傷を修復するのに用いられます。
まずは車につく傷について、原因を見ていきましょう。
・ひっかき傷
車の走行中に空気中の砂ぼこりやゴミ、草木と当たることによってできる傷です。
乗車時に爪や鞄が当たってできることもあります。
・こすり傷
洗車時の磨き傷や縁石、ガードレールなどに擦ってしまった傷のことです。
・へこみ傷
車が何かにぶつかってしまったり、物が当たったりしてできた傷です。
車の板金は上記のような損傷を修復するためになくてはならない技術です。
ひっかき傷やこすり傷は見た目以上に深いものが多く、放置しておくことで錆による車体の劣化に繋がります。
へこみ傷に関しては塗料が剥がれることもあり、なおさらです。
もし、板金がなければ、パネルやパーツを交換しなければならず、多くの費用や期間がかかってしまうでしょう。
車の板金修理の方法とは?
車の板金修理は傷の種類によって方法が異なります。
どのような傷であっても、傷の大きさや深さ、どの範囲にまで傷が及んでいるかなどを確認してから作業に入ります。
≪ひっかき傷やこすり傷の場合≫
1.ヤスリで損傷箇所周辺の塗料を研磨して剥ぎ落とす
2.研磨した箇所の傷が落ちたら、汚れを取り除く
3.研磨した箇所に塗料を塗り、再度磨くことで表面を平らにする
4.油分や汚れを落とし、下地を塗布する箇所以外のマスキングを行う
5.下地を塗り乾燥させたら、研磨して平らにする
6.塗装を行う
≪へこみ傷の場合≫
1.へこみ傷が付いたパネル全体を洗浄して汚れを取り除く
2.専門の工具を用いて、鋼板の裏側からへこみを押し出す(引き出し板金)
3.引き出し板金で対応できない場合は、ピンやワッシャーを溶接し、専用工具を取り付けて外側からへこみを引き出す(叩き出し板金)
4.パテを塗布する箇所を研磨する
5.マスキングを行ってからパテを塗布する
車の板金修理の期間はどれくらい必要?
車の板金修理は手間や時間がかかりそうなイメージですよね。
実際に修理期間はどれくらいかかるのか、期間が長期に及ぶ事例についてもご説明していきます。
車の板金修理にかかる期間の目安は?
車の板金修理にかかる期間は、修理箇所によって異なります。
ディーラーやカー用品店、自動車修理の専門業者など、板金修理をどこに依頼するかによっても違いが生じますが、専門業者においての修理期間の目安を例に紹介いたします。
まず、乗車のたびに開け閉めを行うドアは、車の中でもっと傷をつけやすい箇所だといえるでしょう。
修理に出すとなると、5日程度かかると考えてください。
ドアと並んで板金修理に多いのがバンパー。
2つあるバンパーのうち、一般的に修理期間が長くなるのはリアバンパーの方で、4日程度かかります。
一方、フロントバンパーは2日程度を要します。
ボディのタイヤ上部にあたるクォーターパネルは、文字通り左右で4ヶ所あるため、通常でも5日程度かかります。
大きな破損がみられる場合、パネルを切断してリヤガラスや内張りの脱着を行うなど大掛かりな交換作業となります。
板金修理で修復できれば期間も費用も抑えられるでしょう。
車の板金修理が長期間に及ぶケースは?
車の板金修理は、実のところ作業自体にはそれほど時間がかからず、長くても半日程度です。
しかしながら、業者に部品の在庫がない場合の取り寄せや他の車との兼ね合いにより、最大で5日程度かかるのです。
これに加え、製造年の古い車や輸入車などの場合、部品の取り寄せに通常より時間がかかることがあります。
国産車であれば中古部品や類似したリビルト品などで対応できるケースがありますが、製造数が少ない車種の場合は、修理完了までに長期間を要する可能性は高いです。
また、年末年始やお盆、ゴールデンウイークなどは業者の繁忙期にあたるため、待ち時間などで修理期間が長くなる傾向にあります。
車の板金修理の費用はいくらくらいかかる?
車を板金修理に出した場合、一般的な費用の相場はどれくらいなのでしょうか。
傷が浅く範囲が狭ければ、単一パネルの板金修理で済み1~2万円程度ということもあります。
基本的には修理する場所によって費用が異なります。
パネルの擦り傷(10×20㎝) | 23,000円~ |
パネルのへこみ傷(10×20㎝) | 33,000円~ |
バンパーの擦り傷(10×10㎝) | 15,000円~ |
ドアミラーの擦り傷(片側のみ) | 15,000円~ |
ボンネット | 50,000円~ |
屋根 | 30,000円~ |
バックドア | 80,000円~ |
修理の範囲が広くなればなるほど、費用が高額になります。
また、損傷の程度によっては板金修理で対応できない場合もあるため、上記の例はあくまでも参考としてください。
損傷が大きい場合や珍しい車種などでは、100万円以上かかることもあるのです。
まとめ
小さな傷であれば、コンパウンドを使ってDIYで直すことも不可能ではありません。
しかしながら、本格的な板金修理には技術が必要となります。
錆や車体の劣化を防ぐためにも、傷が付いた時にはなるべく早く業者に相談するようにしましょう。