板金塗装をDIYで行うことができれば、修理費用を抑えることが可能ですよね。
しかし、実際には車を傷つけてしまうなど失敗のリスクがあるため、自分で板金塗装するのはなかなか勇気がいることです。
ここでは、自動車の板金塗装を行う場合に資格は必要なのか、板金塗装に携わる人はどのような資格を持っているのかをまとめていきます。
自動車の板金塗装に資格は必要?DIYでもできるの?
事故や不注意などで車に傷が付いたりへこんだりした時、元の形状に戻す作業を板金と言います。
そして、修復した箇所に塗料を塗り、色合いを元通りにしていく作業のことを「板金塗装」と呼びます。
一見、簡単そうに見えますが、無資格の素人がDIYで行うことはできるのでしょうか?
結論から言うと、自動車の板金塗装を行うのに特別な資格は必要ありません。
無免許運転をした時のように罰金や点数が引かれるということもないですし、実際に板金塗装工場などの現場で働く場合でも、絶対に必要な資格というものはないのです。
とはいえ、車の板金や板金塗装の作業は専門的な知識や高度な技術が求められます。
板金においては、傷ついたボディを専用ツールで、表側あるいは裏側から叩いたり引っ張ったりして修復しなければなりません。
フレームに歪みがあれば、修正装置を用いて修理しなければなりません。
また、板金塗装においても、単に色を塗るだけでなく、仕上がりをキレイにするためにパテなどで下地を整えたり、塗料の調色を行ったりする作業があります。
板金業界では、資格よりも技術力や実務経験が重視されるのです。
板金塗装のプロである「板金塗装工」として独り立ちするには、10年もの月日がかかると言われています。
もちろん、その間に現場での積み重ねがあっての話です。
市販のコンパウンドで補修できる程度の小さな傷でない限り、全くの素人がDIYで板金塗装することは難しいと考えておきましょう。
車の板金塗装に携わる人はどんな資格を持っているの?
自動車の板金塗装には資格は要らないものの、DIYで行うことが難しい理由を説明しました。
現場で働く人たちは、大半が板金塗装の専門的な技術を習得するための学校に通っています。
では、実際に板金塗装の仕事に携わる人は、どのような資格を持っているのでしょうか。
自動車車体整備士
自動車のボディに関する専門的な知識や技能を持っていることを示すための国家資格です。
点検・修理・整備のスペシャリストで、板金塗装に関連が深く、仕事に就く上でも有利になると言われています。
自動車整備に関わる専門学校に通い「特殊整備士課程」を修了していれば、卒業後に受験が可能です。
しかしながら、2級以上の自動車整備士課程を修了している場合は、1年以上の実務経験が必要です。
専門学校に通っていない場合は2年以上の実務経験がなければ受験できません。
塗装技能士
塗装に関する専門的な知識や技能を持つことを示すための国家資格です。
塗装技能士の資格には「木工」「建築」「金属」「噴霧」「鋼橋」の5種類がありますが、中でも自動車の板金塗装で役立つのは「金属塗装技能士」になります。
1~3級まであり、2級は「3級の所有」または「工学系の学校を卒業しているor2年以上の実務経験」がないと受験できません。
塗装技能士の資格を取得するためには、長い年数がかかるということですね。
有機溶剤作業主任者
労働安全衛生法に基づき、板金塗装で有機溶剤を使う際には、必ずこの資格所所有者の指揮監督が必要となります。
18歳未満は受験することができません。
有機溶剤というのは、ほかの物質を溶かす性質を持つ有機化合物のことで、例えばシンナーなどが該当します。
自動車の塗料には有機溶剤が用いられているため、作業を安全に進めるために求められる資格なのです。
自動車整備士
自動車全般の点検、診断、修理、組立などの整備が行えることを示す国家資格です。
1~3級、特級という4つのレベルに分けられています。
板金塗装において特に需要が高いのは「2級ガソリン自動車整備士」と「2級ジーゼル自動車整備士」です。
一つの級の中でさらに細分化されており、受験資格も複雑になっています。
自動車整備に関する専門学校を卒業していれば2級から受験可能ですが、そうでない場合は地方運輸支局長の認証・指定工場で1年以上の実務を経た上で、3級から受験しなければなりません。
1級を受験するには、2級の所有者でかつ3年の実務経験が必要とされます(二級シャシ整備士を除く)。
自動車の整備工場には「一定数以上の技能検定に合格した人がいなければならない」と法律で定められています。
そのため、自動車整備士の資格を持っていることは、板金塗装の職に就く上で有利になる可能性が高いです。
ガス溶接技能者、アーク溶接作業者
自動車の板金においては、金属の溶接・溶断・加熱などの作業を行うことがあります。
これらの作業を行うには、ガス溶接技能者やアーク溶接技能者の資格が必要です。
ガス溶接はガスバーナーを、アーク溶接はアーク放電と呼ばれる火花を用いた溶接になります。
18歳以上という年齢制限はありますが、講習を受けて修了すれば受験は可能です。
まとめ
現場で板金塗装の作業を行っている職人の多くは、何かしらの資格を所有していると考えて良いでしょう。
国家資格に関しては、専門課程を修了していたり、長年の実務経験を要したりするものがほとんどです。
板金塗装には車の修理や塗装に関する知識が必要なので、自分で無理に行うのではなく、専門知識を持ったプロに依頼しましょう。