車関連で必ず耳にする「板金」ですが、どんな意味かご存じでしょうか?
自動車修理工場のことを板金屋さん、などと呼ぶこともありますよね。
ここでは、「板金」とはどのような意味なのか、また車の板金についての解説をしていきます。
目次
「板金」の意味
板金(いたがね)とは金属を板のように薄く打ち延ばしたもの、あるいは金属板を常温で加工することを意味します。
板金と一言でいっても、その種類はさまざまです。
板金は3種類ある
板金の材質には大きく分けて3種類あります。
鉄鋼 軟鉄鋼や表面処理鋼板、ステンレス鋼板、その他
非鉄 アルミニウム、アルミニウム合金板、銅、銅合金板、その他
非金属 合成樹脂板、繊維材料、その他
軟鉄鋼は板金加工で主流とされており、自動車のボディの大部分に使用されている冷間圧延鋼板(SPCC)や熱間圧延鋼板(SPHC)がよく用いられます。
アルミニウムは軽量で加工しやすく、強度が鉄の約2倍という利点がありますが、修理の難度が高いため、ボディにダメージを負った際に新品パネルへの交換となるケースが多いです。
銅は耐食性に優れており導電性が高いものの、他の材質と比べて高額です。
板金の使用用途と加工方法
私たちの身の回りにも多くの板金が使われており、家電製品や家具なども例外ではありません。
自動車のボディや部品に使われることもあれば、建築物の屋根や外壁、水回りの設備などにも用いられます。
また、家電や家具などの部品に使われる工場板金と呼ばれるものもあります。
板金を加工する方法には主に以下の4つが挙げられます。
切断 板金を切断する加工方法
曲げ 板金を幅広い形状に折り曲げて加工する方法
絞り 板金に圧力をかけて複雑な形状にする加工方法
溶接 板金同士もしくは他の金属材料を接合する加工方法
これらの加工に加え、研磨作業や洗浄、表面処理加工などを経て製品に組み込まれます。
車の「板金」の意味と具体的な方法について
ここでは、車における「板金」がどんな意味なのか、そして、板金の具体的な方法について説明します。
車の板金の意味とメリット
車の板金というのは、事故などにより車のボディがへこんだり経年により傷や変形が生じたりした時に、修理して元に戻す作業のことをいいます。
板金の最大のメリットといえるのが、パーツやパネルを丸ごと交換することなく修理できるということ。
つまり、修理費用を抑えることができるということです。
例えば、サイドボディを壁に擦ってしまった場合、フロントドアやリヤドア、フロントフェンダー、リヤフェンダーと広範囲の部品を交換しなければなりません。
もしも、板金が存在しなかったら、修理に高額な費用が必要となるでしょう。
また、工期を短縮できるというメリットもあります。
車の板金の方法には3つある
車の板金は、ボディのへこみや損傷などを、職人があて板の上からハンマーなどの専用工具を用いて表や裏から叩いたり引っ張ったりして修復するのが基本的な作業となります。
多くの場合では、仕上げに塗装も行われるため、「板金塗装」と呼ばれることもあります。
車の板金は「外板板金」「内板骨格修正」の2種類に分けることができます。
土台となるフレームの外側と内側のどちらを修理するかによって、呼ばれ方が変わります。
外板板金は文字通り外側のパネルを元通りにする作業です。
内板骨格修正はボディの損傷が内側にまで及んでしまった場合、特に車のフレームに歪みが生じている時に行われます。
ボディ修正装置やフレーム修正機などの機械を用いることで、ボディの形を整えたりフレームの歪みを直したりしていきます。
衝撃による破損が大きいケースやアルミニウム素材が使用されており、費用がかさむケースなど、板金で対処できないものに関しては、パネルの取り替えが行われます。
車の板金をすべきなのはどんな時?
実際に車の板金を検討する際、本当に板金で元に戻せるのか疑問に思いますよね。
板金作業が向いているケースや、適した箇所を挙げていきましょう。
車のへこみや引っ搔き傷が気になる場合
車を駐車しようとした際に壁にぶつかった、手持ちの荷物がぶつかったなどでへこみが生じた際は板金で対処することが可能です。
放置しておくと塗料の剥がれによりサビの原因になるため、1㎝でもへこんだら板金することをお奨めします。
また、走行中には車のボディが石や砂が接触することが多々あります。
ペットや子どもが爪で車体を引っ掻くことでも細かな傷が付くものです。
そのような引っ掻き傷を修復する場合も、板金が有効となります。傷が浅ければ塗装やコンパウンドで対処できますが、傷が深い場合は板金が望ましいでしょう。
車に広範囲な擦り傷が付いた場合
壁やガードレール、縁石などと接触すると、車のボディに広範囲な擦り傷が付くことがあります。洗車の際に汚れが付着したタオルなどを使うことも、車体に擦り傷が付く原因です。
これらの擦り傷は引っ掻き傷よりもダメージが大きい傾向にあるため、放置しておくとサビの発生につながります。
なるべく早く板金修理をするようにしてください。
板金に適している車の箇所は?
車の板金修理に適している箇所はどこでしょうか。
まず、ドア周辺です。ドア本体やドアミラー、フェンダーなども含まれます。
一般的には、運転席側よりも助手席側を修理するケースが多いです。
衝撃の大きさによって大きな傷やへこみが生じるのは前後バンパーですが、この部分も板金修理で修復できます。
ほかにも、ボンネットやルーフ、トランクといった箇所は板金に適していますが、やはりエルミ製のものは高度な技術を必要とするため、板金での対処が難しい場合があります。
まとめ
車の板金は、車のボディがへこんだり経年により傷や変形が生じたりした時に、修理して元に戻す作業のことを意味します。
車の板金は専門的な知識や技術がなければ行えない作業です。
DIYで車体の傷やへこみを元通りにすることは困難なため、プロに任せるようにしましょう。