車の修理の中でも、特別な修理がフレーム部分の修理です。
フレームは車の骨格であり強度を支えている部分なので、修理には細心の注意が必要となります。
また、買い替えや売却の際にもフレーム修理を行ったかどうかは大きなポイントになります。
目次
フレームが歪むことで起こる問題
衝突など大きな事故により車のボディに凹みができた場合は、見た目にすぐ分かります。
ですが、凹んだ部分をきれいに修復したり部品交換を行ったりすれば、凹みがあったことは分からなくなります。
このような修理を行った後に、なぜか車が右に寄って行ったり左に寄って行ったりとおかしなクセが起こるケースがあります。
このような場合、フレームが歪んでしまっているのかもしれません。
車のエンジンや足回りの部品など、走行に必要不可欠な部品類は、このフレームに取り付けられています。
そのため、フレームが歪むとそれだけで走行に異常がでることがあるのです。
片側だけタイヤが異常に減るという場合にも、フレームの歪みが起こっている可能性が出てきます。
この他にドアの開閉が行いにくい、隙間ができる、雨漏りが起こるといったことも起こります。
フレームの種類によってフレームの歪みやすさに違いがある
同じような衝撃を受けた場合でも、フレームが歪みやすい車と歪みにくい車があります。
フレームは大きく分けると2種類あり、構造そのものが異なるためです。
頑丈で歪みにくい「ラダーフレーム」
フレームが単体で作られており、そこの部品が取り付けられることで車を組み立てていくタイプのものが「ラダーフレーム」です。
フレーム自体が独立しているため頑丈で歪みにくい特徴を持っています。
ボディ部分に大きな損傷が起こっても、フレームまでは歪みにくくなります。
セダンやSUVは、このタイプで作られていることが多くなります。
軽量だが歪みやすい「モノコックフレーム」
ボディそのものがフレームと一体となっているのが「モノコックフレーム」です。
部品数が少なく車体全体が軽量化できるため、軽自動車やコンパクトカーではこのタイプで作られているケースが多くなります。
ボディとフレームが一体化することで、事故などの衝撃を受けると歪みやすいデメリットもあります。
フレームの歪みを治すのは大変な労力を要する
歪んでしまったフレームを修理するためには、専用の機械を使う必要があります。
このためDIYでの修理はできません。
また、フレームの歪み自体も数ミリ単位で調整する必要があるため、かなり繊細な作業となります。
どのくらいフレームが歪んでいるのかを計測し、専用に機械で圧力を調整しながら歪みを修正していきます。
機械を所有している整備工場でも、熟練の技術を持つ人でなければ難しい作業です。
また、フレームの歪みが取れた場合でも、元通りに修復できるわけではありません。
とくにモノコックフレームの場合には歪みを上手く取れたと思っても、しばらくしてから隙間が見つかったり雨漏りを起こしたりすることがあります。
修理費用は10万円以上
フレームは車の部品の中でも衝撃に強く歪みにくいパーツです。
ですがその分、修理が必要になった場合には労力が必要なため、修理費用は高額になります。
安い場合でも10万円ほど、場合によっては100万円を超える場合があります。
ラダーフレームの場合には、取り付けられている部品をすべて外す必要があります。
フレームの損傷が起こるほどの衝撃であれば、バンパーやフェンダーなどはほぼ交換が必要となるでしょう。
また電装部品なども交換が必要になるケースがあります。
交換せずに済んだ場合でも、板金塗装など手間暇がかかる作業が必要になるケースは多く、それらを含めた総額は非常に高額になります。
フレーム修理を行った車は価値が下がる
フレーム修理を依頼すると、多くの整備工場では「フレーム修理を行うより、廃車にしたほうがよいのではないか」と提案されることがあります。
修理費用が高額になるだけではなく、フレーム修理を行った車は「事故車」や「修復歴車」として取り扱われ、下取りや売却の際に価格が大幅に下がるからです。
場合によっては、修理をせずに廃車にして新車を購入したほうが経済的になるケースもあります。
一度フレームが歪むほどの衝撃を受けた車は、再び何かトラブルが起こる可能性を秘めています。
フレームの歪みを完全に修復するのは難しく、それだけ安全性にも問題がある車となるのです。
その結果、事故車や修復歴車はフレーム修理を行っていない車よりも価値が下がります。
もしフレーム修理を行っているのに行っていないと申告した場合でも、修復歴は分かります。
フレーム修復の履歴を隠すことはできません。
まとめ
車の価値が下がったとしても、様々な思い出が詰まった車を手放したくない、修理してでも乗り続けたいという人もいるでしょう。
このような場合は一度整備工場で相談をして、見積もりをお願いしてみましょう。
その上で乗り続けるかを考えるとよいですね。